1. はじめに
古来より、人々は未来への洞察や自己理解を深めるための道具として、様々な形の占いカードを用いてきました。これらのカードは、文化や時代を超えて、人々の精神的な探求を支える役割を果たしてきたと言えるでしょう。魔法部ではタロットカードとルノルマンカードから部活動を開始しましたが、おはなしの中ではオラクルカードなども登場します。「占いのカードってどんな種類があるの?」という質問がありました。そこで、数多くの占いカードの中から、特に代表的な6種類、タロットカード、ルノルマンカード、オラクルカード、キッパーカード、禅タロット、そしてマナカードを取り上げ、それぞれの歴史的背景、特徴的な構造、著名なデッキ、そして具体的な占い方について説明してみます。それぞれのカードシステムが持つ独自の魅力と、占いの手法の違いを明らかにすることで、魔法部のみなさまがご自分の興味や目的に合ったカードシステムを見つける一助となれば幸いです。
2. タロットカード
2-1 歴史
タロットカードの歴史は、15世紀の北イタリアに遡ります。現存する最古のタロットカードの記録は、1420年代から1450年代にかけてのミラノ、フェラーラ、フィレンツェ、ウルビーノといった都市で見られます 。当初、これらのカードは「タロッキ」または「トリオンフィ(勝利)」と呼ばれる、ブリッジに似たトリックテイキングゲームに使用されていました 。この時期に複数の都市でほぼ同時期に記録が残っています。
初期のタロットデッキは、当時の一般的なイタリアのカードと同じく、カップ、ソード、バトン(ワンド)、コイン(ペンタクル)の4つのスートで構成され、それぞれに数字札とキング、クイーン、ナイト、ジャックの4枚の人物札が含まれていました。これに加えて、21枚の寓意的な絵柄を持つ切り札(後の大アルカナ)と、道化師(フール)のカードが存在していました 。切り札を意味する「トリオンフィ」という言葉は、後に英語の「トランプ」へと変化しています。ゲームという中で寓意的なイメージが存在していたことは、それらが単なるゲームプレイを超えた、記憶やテーマを想起させる目的も持っていたのではないかと考えられます。
しかし、タロットカードが神秘主義や占いと結びつけられるようになったのは、ずっと後の18世紀末、フランスにおいてでした 。この転換期を主導したのは、アントワーヌ・クール・ド・ジェブランやジャン=バティスト・アリエット(エテイヤ)といったフランスの神秘主義者たちであり、彼らはタロットカードにエジプト起源などの神秘的な起源を主張しました 。しかし、歴史的な証拠はこれらの主張を裏付けていません。しかし、特定の人物によって推進され、根拠のない起源の主張がなされたものではありますが、このゲームから占いへの用途の変化は現在のタロットカードに大きく影響を与えています。
クール・ド・ジェブランによって広められたエジプト起源説は、歴史家によってほぼ否定されています 。19世紀末から20世紀初頭にかけて、アーサー・エドワード・ウェイトとパメラ・コールマン・スミスによって制作されたライダー・ウェイト・スミス版タロットは、小アルカナにも絵柄が描かれたことで、最も普及し影響力のあるタロットデッキとなりました 。ライダー・ウェイト・スミス版が小アルカナに視覚的な物語性を持たせたことは、タロットが占いとして広く受け入れられる上で重要な貢献をしたと考えられます。
2-2 特徴
現代の標準的なタロットデッキは78枚のカードで構成され、大アルカナと小アルカナの2つの主要なグループに分けられます 。
大アルカナ は、通常0から21までの番号が振られた22枚のカードで構成されており、人生における重要な教訓、精神的なテーマ、そして元型的なエネルギーを表すとされています 。これらのカードは、リーディングにおいてより大きな影響力を持つと考えられており、人生における主要な出来事や変化を示すと解釈されます。愚者から始まり世界で終わる大アルカナの進行は、自己発見と精神的な進化の象徴的な旅として捉えることができます。この連続的な性質と元型的な人物像は、変容のプロセスを表す物語構造を示唆しています。占いの中でも、これらが出た場合、それをとくに重要視する場合が多く、大アルカナがたくさん出た占いは特に丁寧に読み取り、受取る必要があります。
カード番号 名前 コアな意味合い 0 愚者 新しい始まり、可能性、未知への受容、心配のないエネルギー 1 魔術師 独自性、内なる才能、新しいプロジェクトの開始や困難の克服能力 2 女教皇 直感、内なる声、意識、外の世界ではなく内なる導きを求める 3 女帝 思いやり、美、愛、自然との深いつながり、自然界の強力な影響 4 皇帝 リーダーシップ、権力、構造、安定、人生に対する自身の力 5 教皇 精神的な教え、規則に従うこと、現在の状況に対する精神的な視点 6 恋人たち 親密な関係、重要な決断、愛情生活への注意、選択の結果の考慮 7 戦車 衝動、決意、勝利の可能性、精神、感情、魂の知識の統合による成功 8 力 勇気、内なる強さ、人生の困難に耐える能力、より大きな力を持って現れる 9 隠者 孤独、内省、人生の出来事を処理するための静かな空間 10 運命の輪 人生は цикличный であり、何も永続的ではない、良い時も悪い時も教訓を大切にする 11 正義 行動には結果が伴う、原因と結果の自然な法則、公平さの促進 12 吊るされた男 より大きな利益のために犠牲が必要な場合がある、うまくいかないものへの執着を手放す 13 死神 物理的な死ではなく、サイクルの終わり、新しい始まりのための過去の手放し 14 節制 節度、平和、忍耐、人生の流れに身を任せる、変化への柔軟性 15 悪魔 束縛感、選択肢がないという思い込み、自身の自由への鍵を握っている 16 塔 突然の破壊と大変動、より強固なものを築くための古い構造の破壊 17 星 希望、癒し、再生、楽観、インスピレーション、宇宙の好意、信念の奨励 18 月 隠された思考、感情、疑念、恐れ、将来への信念を曇らせる可能性 19 太陽 幸福、喜び、活力、楽観、物事がうまくいっている、正しい道を進んでいる 20 審判 過去と未来の収束、目標達成のための決定と行動の見直し、変化の奨励 21 世界 完了、成就、あるべき場所にいる、旅の次の段階への準備
小アルカナ は56枚のカードで構成され、ワンド、カップ、ソード、ペンタクルの4つのスートに分かれています 。これらのカードは、日々の出来事、個人的な経験、短期的な状況を反映するとされています。4つのスートは、四大元素(ワンド – 火、カップ – 水、ソード – 風、ペンタクル – 地)と関連付けられ、人生の異なる側面(情熱、感情、知性、物質世界)に関連する象徴的な解釈をくれます。各スートには、エースから10までの数字札と、ペイジ、ナイト、クイーン、キングの4枚のコートカードが含まれています 。数字札は、スートの領域内(つまりスートの意味内にプラスして)での出来事の展開を表し、コートカードは、状況における異なる性格タイプや役割を表すことがあります。たとえば、ペイジは成熟していないので思慮深さに欠けることもありますが、若さゆえの勢いがあり、自由さも感じます・・・など。
タロットカードの意味は複雑で、様々な文化的、神話的、そして秘教的な伝統から引き出されていて象徴的です 。しかしそれゆえに、占う者のニュアンスに富んだ多面的な解釈を可能にしています。しかし、それゆえに難しいとも言えます。
2-3 有名なタロットデッキ
タロットカードには数多くのデッキが存在しますが、その中でも特に有名で影響力のあるものをいくつか紹介します。
ヴィスコンティ・スフォルツァ・タロット は、15世紀中頃のイタリアで、ヴィスコンティ家とスフォルツァ家のために制作された、現存する最古のタロットデッキの一つです 。裕福な家庭によって依頼されたという事実は、初期のタロットデッキが、ゲームとしてだけでなく、社会的地位を反映する贅沢品であったことを意味しています。タロットカードを貴族たちが好んだことは、初期段階における一定の文化的価値を築くのに貢献したと考えられます。
タロット・デ・マルセイユ は、18世紀に現れ、特にフランスとスイスで影響力を持った著名なバージョンです 。これは、タロットの進化と普及、特に神秘主義との関連において重要な段階を表しています。
ライダー・ウェイト・スミス・タロット については、2-1の歴史と2-2の特徴で既に述べましたので省略。
トート・タロット は、アレイスター・クロウリーによって考案され、レディ・フリーダ・ハリスによって第二次世界大戦中に描かれました。その複雑な秘教的象徴主義で知られています 。これは、クロウリー独自の哲学的および魔術的システムを反映した、オカルトタロットの伝統における重要なデッキとなっています。
2-4 タロットカードを用いた占い方
タロット占いでは、まずテーブルの上にカードを全部広げて、両手でグルグル混ぜます(スプレッドシャッフルとかテーブルシャッフルと呼ばれています)。質問や意図に集中します。その後、特定のパターン(スプレッド)に従ってカードを引き、配置します 。占いを始める前に、深呼吸をすることでエネルギーを調整し、占いを行うための適切な状態を作り出すことができます。またデッキをコンコンとノックすることは、カードに「これから占いを始めます」と伝える合図で、これにより、カードとのコミュニケーションを確立し、より正確なメッセージを受け取りやすくします。これらの行為は、占い師がより正確で深いリーディングを行うための準備として、古くから行われてきました。
一般的なスプレッド には、過去、現在、未来を表す3枚引き、状況の全体像、影響、障害、潜在的な結果などを包括的に示す10枚のカードを用いるケルト十字スプレッド、そして状況を様々な影響要因から分析するヘキサグラムスプレッドなどがあります。
解釈においては、各カードの基本的な意味を理解し、スプレッドにおけるその位置を考慮し、カード間の関係性を読み解くことが重要です。直感もまたタロット占いにおいて重要な役割を果たし、占い師は自身の個人的な理解と洞察に基づいてカードを解釈することがよくあります。タロットデッキに付属しているガイドブックは、特に初心者にとって、カードの意味や解釈に関する貴重な情報源となります。最初は偏見によって誤ったリーディングにならないように、カードの位置とカードの意味を見ながらどういうことなのかを考えてみてください。
占いを行う際の重要な考慮事項 としては、明確で具体的な質問をすること、自身の直感を信じること、質問の文脈と質問者の状況を考慮すること、そしてスプレッド内で繰り返されるテーマやパターン(スートが違うけれど、同じ数字が出る、同じスートばかりでるなど)に注意を払うことなどが挙げられます。
3. ルノルマンカード
3-1 歴史
ルノルマンカードシステムは、18世紀後半に起源を持つ、約200年前のヨーロッパの占い道具です。このシステムは、有名なフランスの占い師、マリー・アンヌ・ルノルマン(マダム・ルノルマン、1772-1843)にちなんで名付けられましたが、今日私たちが知るようなデッキは彼女の死後に登場しました。彼女の名を冠しているものの、彼女の死後に普及し標準化されたという事実は、彼女の占い師としてのカリスマ性を利用した商業的戦略であると推測されます。
カードのイメージは、コーヒーの粉の占いによく見られるシンボルや、初期の「エンブレムカード」に由来すると考えられています。現存する最古のデッキは1799年から1800年頃のもので、「希望のゲーム(Das Spiel der Hoffnung)」というドイツのカードゲームとして元々存在していました。タロットカードと同様に、ルノルマンカードもゲームとしての起源を持つことがわかります。「希望のゲーム」という元の名前は、その後の占いにおける用途と一致して、将来の結果や希望の予測に焦点が当てられていたことを意味しています。36枚のプチ・ルノルマンデッキは、特に占いにおいて人気を博しました。ルノルマンカードは、19世紀にヨーロッパ大陸で大きな人気を集め、後に世界中に広まりました。
3-2 特徴
標準的なルノルマンデッキは36枚のカードで構成されており、それぞれのカードには、日常的な物体、人物、または状況を表すシンプルで直接的な絵が描かれています。タロットのように深い心理的または精神的なテーマというよりも、わかりやすい具体的な日常の問題に当てられています。絵からの直観で日常生活に関する直接的な質問や近い未来の予測に答えるのに適しています。各カードには特定の固定された意味があり、解釈にはスプレッド内の複数のカードの意味を組み合わせます(コンビネーションリーディング)。ルノルマンデッキには、タロットのような大アルカナと小アルカナの構造はありません。また、逆位置の意味も存在しないので、トランプのようなシャッフル(ヒンドゥーシャッフル)でもかまいません。しかし、ヒンドゥーシャッフルは混ざりにくいので、回数を多くしたり、7枚目づつを並べていったり、3つの山にわけてそれぞれの上のものを取ったりなど、自分で予めスタイルを決めておくとよいでしょう。
カード番号 名前 コアな意味合い 1 騎士 エネルギー、情熱、スピード、活動、ニュース、メッセージ 2 クローバー 幸運、軽快さ、小さな幸せ、機会、気楽さ、ユーモア 3 船 出発、別れ、距離、航海、旅行、冒険 4 家 家庭、設立、安全、伝統、習慣、プライバシー、保存 5 木 成長、根を下ろす、過去とのつながり、個人的成長、スピリチュアリティ、健康 6 雲 混乱、不明瞭さ、誤解、不安、疑念、隠された秘密 7 蛇 欲望、誘惑、欺瞞、渇望、魅力、セクシュアリティ、知恵、禁断の知識 8 棺 終わり、死、葬儀、喪失、悲しみ、悲嘆 9 花束 お世辞、社交生活、快適さ、親切さ、礼儀作法、感謝 10 鎌 事故、軽率な決定、危険、警告、スピード、報復 11 鞭 葛藤、議論、口論、討論、叱責、反対、異議 12 鳥 心配、興奮、噂話、おしゃべり、神経質、不安 13 子供 新しい始まり、子供、幼児、遊び、未熟さ、無邪気さ 14 狐 自己中心的、自己配慮、策略、疑い、狡猾さ、用心 15 熊 力、リーダーシップ、支配、影響力、短気、強い性格、ボス 16 星 希望、インスピレーション、楽観主義、スピリチュアリティ、夢、目標への進展 17 コウノトリ 変化、移行、移動、再発、新しいサイクル、憧れ 18 犬 忠誠心、友情、追従者、献身、服従、サポート 19 塔 権威、孤独、寂しさ、孤立、よそよそしさ、エゴ、傲慢 20 庭 公共問題、社会、文化、チームワーク、名声、ソーシャルネットワーク 21 山 困難、問題、障害、障害、苦労、挑戦 22 分かれ道 選択肢、多くの機会、旅行、別れ、躊躇、決定 23 ネズミ 減少、欠乏、枯渇、破壊、欠陥、欠点、病気 24 ハート 愛、親しみやすさ、ロマンチック、許し、和解、優しさ、慈善 25 指輪 約束、誓約、名誉、パートナーシップ、協力、サイクル 26 本 秘密、知識、教育、情報、研究、勉強 27 手紙 文書、メール、スピーチ、会話、表現、情報、コミュニケーション 28 男性 クエレントの人生における男性(友人、パートナー、家族)、男性クエレントの場合、クエレント自身、男らしさ 29 女性 クエレントの人生における女性(友人、パートナー、家族)、女性クエレントの場合、クエレント自身、女らしさ 30 ユリ 官能性、セックス、美徳、道徳、倫理、知恵 31 太陽 幸福、勝利、成功、力、温かさ、真実 32 月 潜在意識、直感、感情、恐れ、欲望、ファンタジー 33 鍵 開放性、啓示、解錠、達成、解放、解決 34 魚 財政、ビジネス、富、価値観、利益、豊かさ 35 錨 安定、抑制、安全、回復力、耐久性、基礎を築く 36 十字架 義務、信念、苦しみ、負担、不寛容、原則、教化
3-3 有名なルノルマンデッキ
ルノルマンデッキには様々な種類がありますが、特に有名なものをいくつか挙げます。
プチ・ルノルマン は、標準的な36枚のデッキです。
グラン・ジュ・ド・マドモアゼル・ルノルマン は、マダム・ルノルマンの死後に出版された、より大きく複雑な54枚のデッキです。
近年では、様々な現代的な解釈や芸術的なテーマを持つルノルマンデッキが登場しており、ドリーミング・ウェイ・ルノルマン、ミスティカル・ルノルマン、ギルデッド・レヴェリー・ルノルマン、ラナ・ジョージ・ルノルマンなどがあります。これらは、ルノルマンシステムが進化し、現代に適応しているってことですね。
3-4 ルノルマンカードを用いた占い方
ルノルマン占いでは、質問に答えたり、物語を形成したりするために、複数のカードを引き、解釈することがよく行われます。
ペア読み は、2枚または3枚のカードを一緒に読み、それぞれのカードの個々の意味を組み合わせて、より微妙な理解を得る一般的なテクニックです。
グラン・タブロー は、36枚すべてのカードを使用するスプレッドで、特定のパターン(通常は8枚の4列、最後の行に4枚)で配置され、状況とその潜在的な将来の展開の包括的な概要を提供します。これは強力ですが複雑なスプレッドであり、解釈にはかなりのスキルが必要です。グラン・タブローの様々な読み方(行、列、対角線、角、ハウスを読むなど)は、スプレッド内の複雑なつながりの網と、多層的な解釈の可能性を示しています。構造化されたレイアウトと複数の読み取りアプローチは、複雑な関係と時間的な展開を明らかにするように設計されたシステムを示唆しています。
グラン・タブローの主要な解釈テクニック には、シグニフィケーターカード(象徴カード=男性または女性)の特定、シグニフィケーターに関連するカードの読み取り(過去、現在、未来、希望、恐れ)、カードの組み合わせとその確立された意味の検索、スプレッド内のカードの「家」または位置の考慮、カードの距離と方向性の考慮などがあります。
ルノルマンカードは、しばしばイエスかノーかの質問に答えたり、過去と現在の状況を説明したり、短期的な予測を立てたり、人々を説明したりするために使用されます。直感も役割を果たす可能性がありますが、このシステムは一般的に、タロットやオラクルカードよりも直接的であり、純粋に直感的な読み取りに依存しないと考えられています。
読み取りを行う際の重要な考慮事項 としては、スプレッドで誰が誰に向いているかに注意を払うこと、カードの並びの順序と配置を考慮すること、そしてカードを主にその文字通りの意味を通して解釈することなどがあります。
4. オラクルカード
4-1 歴史
オラクルカードのルーツは、古代文明における占いの実践にまで遡ることができます(エジプト、ギリシャ、中国など)。これは、神聖なコミュニケーションのために象徴的なイメージを使用することの長い歴史を示しています。今回は紹介しませんでしたがルーンもこれに近いものです。ルネサンス期にヨーロッパでタロットが登場したことが、より柔軟な代替手段としてのオラクルカードの開発に影響を与えました。これは、カートマンシー(カードを使った占い)の進化においても大きな影響を与えています。タロットとは異なり、オラクルカードはカードの数や探求するテーマは作成者の独自のビジョンを反映しています。このことがオラクルカードの一番の特徴です。19世紀と20世紀には、神秘主義への関心が再燃し、天使、動物、チャクラなど、多様なテーマを持つオラクルカードが普及しました。これは、スピリチュアリティと自己発見におけるより広範な文化的傾向を反映しています。この時代はニューエイジと呼ばれるています。現代もオラクルカードは進化を続けており、デジタル版や幅広い現代的なテーマが登場しています。
4-2 特徴
オラクルデッキはタロットよりも構造化されておらず、カードの数やスートシステムは固定されていません。これにより、デッキの作成者にとってより大きな創造の自由が、ユーザーにとってはより直感的なアプローチが可能になります。それらは、精神的および天使の導きから、自然、神話、および個人的な成長まで、多様なテーマを備えています。これにより、ユーザーは自分の特定の興味やニーズに共鳴するデッキを選択できます。イメージと象徴主義は大きく異なり、タロットよりも直接的で、伝統的なオカルトの意味合いにあまり浸されていません。そのため、より幅広い層に受け入れやすいようです。解釈は直感とカードへの個人的なつながりに大きく依存していますが、多くのデッキにはガイドブックが付属しています。これにより、ユーザーの内なる知恵と主観的な理解が強調されます。オラクルカードは、自己反省、導きの探求、および精神的な領域とのつながりを育むためによく使用されます。
4-3 有名なオラクルデッキ
数多くのオラクルデッキが存在し、広範なテーマを網羅しています。例としては以下のようなものがあります。
エンジェルオラクルカード: 天使からのメッセージと導きに焦点を当てています。
アニマルスピリットオラクルカード: 動物界から知恵と洞察を引き出します。
自然をベースにしたオラクルカード: 自然界のエネルギーと象徴主義とつながります。
コレット・バロン=リードのウィズダム・オブ・ジ・オラクル 。
レベッカ・キャンベルのワーク・ユア・ライト・オラクルカード 。
キム・クランズのザ・ワイルド・アンノウン・アーキタイプス・デッキ 。
ヤスミン・ボーランドのムーンオロジー・オラクルカード 。
カイル・グレイのキーパーズ・オブ・ザ・ライト・オラクルカード 。
アラナ・フェアチャイルドのセイクリッド・レベルズ・オラクル 。
アルベルト・ヴィロルド博士のミスティカル・シャーマン・オラクル 。
コレット・バロン=リードのスピリット・アニマル・オラクル 。
ジェシカ・ルーのウッドランド・ウォーデンズ・オラクルデッキ 。
ソルトウォータースピリットオラクルデッキ。
ジ・インテュイション・オラクル。
ノクターナ・オラクル。
シーソウルジャーニーズオラクル。
ホームオラクルデッキ。
ザ・シード&シックル・オラクル。
フラワーメディスンオラクル。
ザ・メタフィジカル・カンナビス・オラクル。
グリーンウィッチオラクル。
アストラルレルムズクリスタルオラクル。
ザ・ハーバルアストロジーオラクル。
オラクル・オブ・ミスティカル・モーメンツ。
ザ・ワンダリング・ソウル・オラクル。
エンジェルナンバーメッセージ&アファメーションオラクル。
ザ・ファセット・ガーデン・オラクル。
クリス=アンのザ・セイクリッド・クリエイターズ・オラクル 。
4-4 オラクルカードを用いた占い方
オラクルカード占いは、タロットやルノルマンカードと比較して、一般的に柔軟性が高く、厳格な規則に縛られません。
一枚引き は、日々のガイダンスや簡単な答えを得るための一般的な方法です。
様々なスプレッド :タロットカードのスプレッドほど標準化されてはいませんが、オラクルカードは、3枚引き(過去、現在、未来)、5枚引き、または質問やデッキのガイドブックに応じて他のレイアウトで使用できます。
直感的な解釈 :主なアプローチは、イメージを観察し、カードのエネルギーを感じ、自分の直感を信頼してメッセージを理解することです。
ガイドブックには、各カードのキーワード、意味、および推奨される解釈が記載されていることが多く、特に初心者にとって役立ちます。
オラクルカードの使われ方として、タロット占いを明確にしたり補足したりするために使用されます。一つのタロットデッキで占った内容にアドバイスや補足をくださいと言って1枚、あるいは2枚を引き、タロットカードの意味とコンビネーションリーディングをしていきます。
占いを行う際の重要な考慮事項 としては、オープンマインドと明確な意図を持って臨むこと、自分に共鳴するデッキを選ぶこと、カードの言葉(もしあれば)とイメージの両方に注意を払うこと、カードのメッセージが自分の質問や状況にどのように関連するかを考慮すること、そしてガイドブックに頼りすぎず、自分の直感を導きとすることなどがあります。
5. キッパーカード
5-1 歴史
キッパーカードは、19世紀(1870年~1890年頃)に遡るドイツの占いシステムです。起源については議論があり、ベルリンの占い師であるスザンネ・キッパーが、バイエルンに移住後にこのデッキを作成したとする説と、ルノルマンカードと同様に、彼女の名前を利用した後の商業的な起源とする説があります。これは、デッキの背後にある正確な歴史的人物を取り巻く不確実性を強調しています。このデッキはルノルマンカードと類似点がありますが、より文字通りの解釈で機能するという点で異なっています。オリジナルキッパーは長らく支配的なデッキであり、近年になってより新しい解釈が登場するまで、バリエーションは限られていました。キッパーシステムは、日常の現実と対人関係に焦点を当てています。
5-2 特徴
伝統的なキッパーデッキは36枚のカードで構成されており、その多くは様々な役割と関係性を持つ人々を描いています(例:金持ちの男性、金持ちの女性、結婚、友人)。人々に強く焦点を当てている点が、より多くの物体や抽象的な概念を特徴とするルノルマンと異なります。主要なライフイベントと一般的な状況も明確に表現されています(例:仕事、旅、病気、成功)。キッパーカードの意味は一般的に直接的で文字通りです。これにより、他のカートマンシー(カード占い)と比較して、基本的な意味を習得するのが容易になる可能性があります。カードに描かれた人物の向きは、解釈において重要です。これにより、リーディングプロセスに独自の層が追加され、影響やイベントの流れを示します。
5-3 有名なキッパーデッキ
キッパーカードにはいくつかの有名なデッキがあります。
オリジナルキッパー(Wahrsagekarten): 19世紀の古典的なドイツのデッキです。
ミスティカルキッパー: アーバン・トロッシュによる鮮やかなアートワークが特徴の、より新しいデッキです。
フィン・デ・シエクル・キッパー: チロ・マルケッティによって作成され、伝統的なドイツのシステムをヴィクトリア朝時代のイギリスに設定しています。
ザ・カードギークス・キッパーカード: 現代的なアートを取り入れつつ、伝統的な方向指示を尊重したデッキです。
シーボーンキッパー:海をテーマにした、より包括的なデッキです。
クリステファニアキッパー:夢のような風景を創り出す珍しいコラージュが特徴です。
5-4 キッパーカードを用いた占い方
キッパーカードは通常、奇数枚(5枚または7枚など)のカードを並べて読むことが多いです。この直線的な配置は、出来事の順序や人間関係の流れを強調しています。一枚引きで簡単な占いを行うこともできます。並べられたカードの位置と近さは、カードの意味と占いの結果に影響を与えます。カードの向きも非常に重要です。例えば、「贈り物」のカードが「主要な男性」の前にあれば、その男性が贈り物を受け取ることを意味するかもしれませんが、後にあれば、彼が贈り物をすることを意味するかもしれません。主要な「マスターカード」(例:主要な男性、主要な女性、結婚)は、占いにおいて焦点となることがあります。9枚引きのような、より大きなスプレッドも使用されます。タロットや一部のオラクルデッキとは異なり、キッパーは文字通りに読まれ、カードの意味は文の言葉をそのまま扱われます。リバーサル(逆位置)はキッパーでは使用されません。
占いを行う際の重要な考慮事項 としては、スプレッドで誰が誰に向いているかに細心の注意を払うこと、カードの並びの順序と配置を考慮すること、そしてカードを主にその文字通りの意味を通して解釈することなどがあります。
6. 禅タロット
6-1 歴史
禅タロットは、オショー(バグワン・シュリー・ラジニーシ)とアーティストのマー・デーヴァ・パドマ(スーザン・モーガン)によって制作され、1994年または1995年に初めて出版されました。これは、明確な哲学的基盤を持つ、タロットの世界への比較的新しい追加です。それは禅仏教の知恵に基づいており、未来を予測するのではなく、今この瞬間の理解を得ることに焦点を当てています。これは、伝統的なタロットのしばしば予測的な性質とは対照的です。デッキの作成には、オショーとマー・デーヴァ・パドマの密接な協力が関与し、アートワークは何年にもわたって開発されました。このデッキは大きな人気を博し、多数の言語に翻訳されています。タロットの基礎となるオショーの教えは、瞑想、マインドフルネス、自己認識を強調しています。
6-2 特徴
オショー禅タロットデッキは79枚のカードで構成されています。伝統的なタロットの78枚のカードに加えて、「マスター」と呼ばれる追加のカードが含まれています。この追加のカードは、デッキの独自の哲学的視点を反映しています。小アルカナのスートは、カードの特性に合わせて、火(ワンド)、水(カップ)、雲(ソード/空気)、虹(ペンタクル/地)の要素で表されます。これは、伝統的なタロットとは異なる要素の対応を提供します。コートカードにも独自の名称があります。マスター(キング)、クイーン、ナイト、チャイルド(ペイジ)で、しばしば三角形のシンボルで示されます。伝統的なタロットカードの多くの名前は、禅の概念と経験を反映する名前に置き換えられています(例:魔術師は存在、死は変容、悪魔は条件付け)。これにより、元型の焦点が内面の状態とプロセスに移ります。
オショー禅タロットの名前 伝統的なタロットの名前 愚者 愚者 存在 魔術師 内なる声 女教皇 創造性 女帝 反逆者 皇帝 無 教皇 恋人たち 恋人たち 意識 戦車 勇気 力 孤独 隠者 変化 運命の輪 突破 正義 新しいビジョン 吊るされた男 変容 死神 統合 節制 条件付け 悪魔 雷 塔 沈黙 星 過去の生 月 無邪気さ 太陽 幻想を超えて 審判 完成 世界
アートワークは現代的でしばしば抽象的であり、感情や心の状態を呼び起こすことを目指しています。付属のガイドブックには、禅の視点から各カードのイメージに関する解説と意味への洞察が提供されています。
6-3 有名な禅タロットデッキ
標準的で最もよく知られている例は、オショー禅タロット:超越的な禅のゲーム デッキです。持ち運び用のポケット版も存在します。
6-4 禅タロットを用いた占い方
禅タロットを読むことは、今この瞬間の意識を高め、内面の思考や感情を理解することに焦点を当てています。主に未来を予測することを目的としていません。リーディングでは、イメージとガイドブックの解説を熟考して、質問者の現在の状況と変容の可能性についての洞察を得ることがよく行われます。現在、過去生、そしてパラドックスを表す3枚のカードを含む「パラドックススプレッド」など、様々なスプレッドを使用できます。伝統的なタロットのスプレッドも、オショー禅タロットカードの独自の意味と要素の関連性を考慮して適応させることができます。直感と個人的な考察は、禅の哲学の文脈の中でカードを解釈するための鍵となります。
占いを行う際の重要なこと は、瞑想的で内省的な心構えで臨むこと、現在と内面に焦点を当てること、各カードの禅の視点を理解するために必ずガイドブックを使用すること、そしてイメージとカード名に反映された変容の可能性、つまりイメージと解説のギャップをどう解釈するかをじっくり考える・・・などがあります。
7. マナカード
7-1 歴史
マナカード(ハワイの知恵の力)は、キャサリン・ベッカーがハワイ文化への深い敬意をもって制作しました。これらのカードのアイデアは、1998年にキャサリン・ベッカーがハワイ島のマナ(力)と、ハワイ文化と環境への畏敬と理解を育みたいという願いに触発されて生まれました。このデッキは、ハワイをより良く理解し、ポノ(正しさ)のある生き方を奨励することを目的としています。
7-2 特徴
このデッキは44枚のカードで構成されています。これは、古代ハワイ人が4と4の倍数を神聖視していたためです。各カードには、英語の名前、ハワイ語の本質を象徴するイメージ、そのメッセージを活性化する短い詠唱、教え、そして解釈が含まれています。これは、ハワイ語の言語と文化的要素を各カードの構造に独自に統合しています。カードは美しく描かれています。付属の194ページの書籍には、物語、詳細な文化的情報、各カードの拡張された解釈が記載されています。マナカードは、意識を拡大することを目的としており、個人的な内省、コミュニケーションの改善、そして健全な生き方を育むために使用できます。マナ自体の概念は、ハワイ文化における宇宙を流れる創造的な精神力を指します。
8-3 有名なマナカードデッキ
最も有名でよく知られている例は、キャサリン・ベッカー作、ドヤ・ナルディン画のマナカード:ハワイの知恵の力 です。
8-4 マナカードを用いた占い方
マナカードを読むには、各カードとガイドブックに記載されている様々な要素を活用します。ハワイの概念を象徴するイメージに焦点を当てます。カードのメッセージを活性化するために短い詠唱を使用します。より深く理解するために提供されている教えを熟考します。ガイドブックの拡張された洞察と組み合わせて提供されている解釈を検討します。
占いを行う際の重要な考慮事項 としては、ハワイ文化への敬意を持って臨むこと、ハワイ語の言葉とシンボルの文化的背景とより深い意味を理解するためにガイドブックを活用すること、そしてカードのあらゆる側面、すなわちイメージ、詠唱、教え、解釈に関わることなどがあります。