
ミスティカル・ルノルマンの付属の解説書の日本語訳です。
このオラクルカードは36枚で構成されています。
その起源は、有名な占い師 マリー=アンヌ・ルノルマン嬢(Mlle Lenormand)によって作られたフォーチュンカードにさかのぼります。
彼女は1772年、フランスのアランソンで生まれ、未来を予見する力に長け、社会的な名声と栄誉を手にしました。
「パリの巫女(シビル)」と呼ばれ、多くの人々が彼女のもとを訪れました。その中にはナポレオンやその妻ジョセフィーヌのような著名人もいました。
彼女は1843年にパリで亡くなりました。
『ミスティカル・ルノルマン』は、伝統的なルノルマンカードのテーマを受け継ぎながらも、まったく新しく独創的なアプローチで制作されています。
このデッキでは、高度なエッグテンペラ(卵テンペラ)技法を用いて、スイスの画家 アーバン・トレシュ(Urban Trösch) がチョーク地の小さな木板に絵を描いています。
この技法は中世の巨匠たちにも使われていた古い技法です。
やがてテンペラ画法は油彩の発展によって取って代わられましたが、現在でもテンペラ技法は使われています。
たとえば、ギリシャのアトス山の修道士たちが宗教画を描く際にもこの技法が用いられています。
この36枚のカードのそれぞれにおいて、アーバン・トレシュは神秘的な体験を生み出しました。
イコン(聖画)のように、はっきりと縁取られた枠は、鑑賞者をまるで異なる世界へと誘います。
この『ミスティカル・ルノルマン』においては、カードのフレームが「窓」の役割を果たしており、絵の中へと入っていくための扉のようなものなのです。
このカードで占う私たちもまた、現実を超えた、より高い次元の現実に触れているのです。
カードの裏面も、この考えを反映しています──
天界にいる天使たちが、地上を見下ろしている姿が描かれているのです。
ミスティカル・ルノルマンでたくさんの幸せな時間を過ごせますように!
レギュラ・エリザベト・フィヒター
カードと親しむ
カードを初めて箱から出したとき──
まずは手にとって、静かに見つめてください。
その絵柄から、どんなことを感じますか?
何が思い浮かびましたか?
カードの解説を読む前に、それをメモしてみてください。
あなた自身の直感や連想が、解釈において最も大切なものなのです。カードに慣れてきたら、次の2つの方法で学びを深めることができます。もしあなたが分析型タイプなら、全カードの解説を読んで理解を深めることをおすすめします。
もしあなたが直感型タイプなら、まずは気軽にカードを展開しはじめてみましょう。占いカードの展開方法は、自分自身の人生や質問を通して体験していくのが一番です。
そうすることで、自然とカードとの関係が深まっていくでしょう。
カードの解釈に親しむための良い方法は、1日1枚引くことです。
毎朝カードを1枚引いてみましょう。
そのカードをすぐに見てもいいし、伏せたままにしておいて、夜にあらためて見てもかまいません。
その日の出来事がカードにどう表れていたかを、しばらく時間をとって観察してみましょう。
このカードが、今日に伝えようとしていたことは何だったのか──?
この練習を定期的に続けることで、カードと深くつながり、解釈の理解も深まっていきます。
占い日記をつけることをおすすめします。
・ 引いた日付
・ 質問の内容
・ 使用したスプレッド(展開方法)
・ 各カードの位置と番号(1~36)
これらを書き残しておくと、あとから状況の変化を振り返ることができます。
※ひとつの質問には複数の意味を込めすぎないように注意しましょう。
質問を書き出すことで、自分の考えも明確になります。
カードの展開方法
準備
カードを手に取り、シャッフルします。
カードに向かって、あなたの質問への答えを求めてみましょう。
シャッフルの時間は、自分が「十分だ」と思えるまででOKです。
その間、あなたの質問に意識を向けておきましょう。
ただし、感情的になりすぎないことが大切です。
(強い感情はカードの答えをゆがめる可能性があります)
あなたの質問を、まるで美術館にかけられた絵のように想像してみましょう。
あなたは、その絵の前に立つ「観察者」となってください。
過去・現在・未来スプレッド
このシンプルな3枚のスプレッドは、
何か問題を抱えていて、その解決の糸口を探したいときにぴったりです。
カードはこの順に並べます:

まず、「準備」の説明に従ってシャッフルします。
最初に引いたカード(中央に配置)→ 今の問題の核心
次に引いたカード(左側に配置)→ 問題の原因や過去の影響
最後のカード(右側に配置)→ これからの道、未来の可能性
カードを並べると、過去から未来へと続く流れが見えてきます。
「問題という名のトンネル」に、ひとすじの光が差し込むようなリーディングができます
全カードスプレッド(グランタブロー)
「すべてのカード」スプレッド
このスプレッドでは、全36枚のカードを使用します。
現在のあなたの状況を広い視野でとらえ、未来に向けての流れを読み取るのに最適です。
この「全カードスプレッド」によるメッセージは、約6ヶ月間有効です。
この期間が過ぎるまでは、同じ方法で繰り返す必要はありません。
リーディング結果をすべて記録しておくと、あとから見直すことができます。
ときどき確認して、実際の出来事と比べてみることで、
あなたのリーディング力(魔法的直感)もどんどん磨かれていきます
カードを十分にシャッフルしたら、山を目の前に置きます。
次に左手で2回カットし、カードを3つの山に分けます。
(つまり、3つのカードの山が目の前に並びます)
それぞれの山の一番下のカードを見て、どのカードだったかをメモしておきましょう。
これら3枚のカードは、その時のテーマや、のちに全体の解釈を深めるための鍵となります。
元の順番通りに山を重ね直し、カードの展開を始めます。
山全体を裏向きで持ち、もう片方の手で下から1枚ずつカードを引いて、表向きで並べていきます。
最初の1枚は、そのときあなたが抱えている中心的なテーマを表します。
カードは次のように並べます

一列8枚(左から右)を4段、つまり32枚
その下にもう一段、残った4枚を中央に置く(計36枚)
カードを展開するときは、必ず下から順にカードを引き、左から右へ、上から下へと並べます。
すべてのカードが並んだら、まずあなた自身を表すカードを探しましょう:
女性なら → カード29番(Lady)
男性なら → カード28番(Gentleman)
まずはこのカードの周囲にあるカードに注目してください。
それが、あなたの状況を示す重要なヒントとなります。

では、引いたカードはどんな意味を持っているのでしょうか?
まずは各カードの意味を確認してみましょう。
特に重要なのは、人物カード(あなた自身を表すカード)の周りに出たカードです。
これは、今まさに形になろうとしている何かを示しています。
それは、まだ「感じ」としてしかわからないかもしれないし、すでに人生に表れてきているものかもしれません。
それはまるで、桜の蕾のようなもの──
まだ咲いていないけれど、うっすらと白い輝きをたたえ、やがて満開になるとわかる、そんな兆し。
このカードも同じように、あなたの人生に咲こうとしている花を暗示しているのです
ここで、すでに4つの指標を手にしています:
カードを3山に分けたときの一番下の3枚
「全カードスプレッド」の最初の1枚
人物カードの周囲のカード
(人物カードが一番上の列でない場合)その上にあるカード
→ これらを通して、すでに中心テーマや重要な問題が見えてきていませんか?
📖 (p.15)全カードスプレッドの読み解き方
いよいよ「全カードスプレッド」全体をリーディングしていきます。
まずは必ず人物カード(あなた自身)から始めましょう。
その人物カードがどちらを向いているかがカギです。
たとえばカード29(レディ)が人物カードなら:
→ 彼女の「左側」は未来、「右側」は過去を示します。
一方、カード28(ジェントルマン)の場合はその逆です。
→ 「右側」が未来、「左側」が過去を表します。
人物カードの下のカードは、「人が無意識に抑圧していること(踏みつけてしまいがちなこと)」を示す可能性があります。
リーディングは、水平方向・垂直方向・斜めなど、柔軟に読むことができますが、行ったり来たりはしないようにしましょう。
あなたの関心に沿って、関連するカードを探していくのがコツです。
たとえば──
「恋の悩み」があるなら、カード24(ハート)を探し、そこを起点に周囲を読んでみましょう
周囲のカードをもっとよく見てみましょう。
そこにはポジティブなカードが多いですか?それともネガティブなカード?
たとえばカード23「ネズミ」は、心の中に何かが「かじりついている」──つまり恋わずらいの暗示かもしれません。
このように、スプレッド全体をひとつの絵のように見て、時間をかけてゆっくりと読み解いてください。
ルノルマン嬢も、1つのスプレッドの解釈にまる1日かけることもあったそうですよ。
最初は1枚1枚、個別に解釈していくことで、すでに驚くようなリーディングが得られるでしょう。
でも本当のルノルマンの魅力は、カード同士の組み合わせ(コンビネーション)にあります。
2枚以上のカードが組み合わさることで、明確で強力なメッセージが生まれます。
その例は『ミスティカル・ルノルマン・ブック』にもたくさん紹介されています
人物カードからの読み方の方向
イラストの通り、人物カードを起点として、
水平(左右)
垂直(上下)
斜め4方向
に読み筋が伸びています。
つまり、人物カードを「方位の中心」ととらえ、そこから放射状に情報を受け取るイメージです。
Runway Layout(滑走路スプレッド)
この「滑走路スプレッド」は、ふとした問いにぴったりのリーディングです。
たとえば──
「目標はあるけど、どうやってそこにたどり着けばいいかわからない…」
そんなときに使ってみましょう。
人物カード(29: Lady または 28: Gentleman)
そして目標を表すカード(例:新しい仕事 → 35: 錨(Anchor))
この2枚を取り出します。
人物カードを左に、目標カードを右に同じ列に置いて、その間をつなぐようにカードを展開します。
次に、カードの山から3枚のカードを引いて、表向きにして並べます(「準備」の手順と同様に)。
この時点でメッセージがはっきりしていれば、リーディングは完了です。
まだ明確でない場合は、最大で7枚までカードを引いて構いません。
(追加できるのは最大4枚)

この間のカードたちが、あなたが目標へ向かってどう進むべきかを、ステップバイステップで教えてくれます。
カードの意味は他のルノルマンとほぼ同じですが、解説書の翻訳なので、次のページで、そのまま訳したものを書いておきます。